先日(2017年11月25日)、朝日新聞のWEBニュースでこの記事が公開され、ちょっとした話題になりました。
今回の件について看板の専門家として考えてみたいと思いますが、この問題にはいくつかのポイントがあると思います。それを整理せずに論じると混乱するので、まず列挙します。
目次
そもそも看板に関する条例として屋外広告物条例というものがある
存知ない方も多いかもしれません。京都市だけでなく、日本国内のどの自治体でも、屋外広告物条例があります。(市町村単位で制定していなければ都道府県の条例が適用されます)これは屋外広告物法という法律に則って、各自治体が定めている条例です。当然、自治体により細かく内容が異なっています。
京都市は特に厳しく規制していることで有名ですよね。
実際には、7㎡以上じゃないと規制対象じゃないとか、運用面でも明らかに違反のものが黙認されていたりなどで、あまり身近じゃないので、知らない方がいてもしょうがないと思います。京都市の場合は規制そのものも厳しいですが、運用面でも厳格に動いているということで行政指導に至ったということだと思います。
ネット上には「表現の自由だ」とか「敷地内なのに規制されるのはおかしい」といった意見も散見されますが、そもそもこの条例では敷地内外にかかわらず規制対象にしています。自己の敷地内においても公衆の眼に触れるものは街の景観に影響を与えるものだからです。欧米では日本以上に景観に関して厳しくルール運用されており、それが歴史を感じさせる美しい街並みの保全につながっています。
もちろん、何でも欧米に見習えとは思いませんが、どのような街をつくっていきたいのかを行政と住民が一緒に考えていく上で「敷地内はなんでもあり」というわけにはいかないのではないでしょうか。
2.京大の立て看板は、規制対象なのか
条例の規制は大きく3つの尺度で測られることが多いです。
まず面積、数量、そして色彩です。
そしてこの条例とは別に、不法占用があります。敷地外の公道などに許可なく設置している場合です。
京大の立て看板が実際にどの規制項目に反しているのか、記事だけでは判断できかねますが、おそらく面積、数量、そして一部の看板が公道での不法占用であると考えられます。不法占用はそもそも看板で有る無しに関わらず、明白に法律違反であり迷惑行為ですから、議論の余地はないと思われます。(手続きを踏んで合法的に公道を占用することは可能です)
この画像でいうところの擁壁下、歩道に設置している看板ですね。屋外広告物条例のことに限定すると、「設置している数が多すぎる」か「合計面積が規制をオーバーしている」「色彩が派手すぎる」ということになります。
3.規制の方向として、正しいのか
どうしても役所のルールですから、客観的な数値などでの規制になりますよね。
数、面積、色彩(色彩はマンセル表色系によって数値化されます)です。特に色彩に関しては、彩度の高い色(真っ赤などの鮮やかな色です)の使用が制限されており、マクドナルド、ローソン、駐車場のタイムズなどのおなじみの看板が京都市内では茶色など地味な色に置き換わっています。
ローソンが瓦屋根の建物になっていたりなど、周りの街並みに溶け込むように工夫されているのは趣もあると思うのですが、個人的にはなんでも一律に茶色や灰色にしてしまうのはどうか?とも思ってしまいます。
京大の立て看板について、「むしろ文化だ」「何でもかんでも規制するのは良くない」といった意見もあるようです。ただ、私はルールはルール、現状の条例に照らし合わせてダメなものはダメ、だと思います。その上で、看板とは何か?景観とは何か?といったことがもっと議論されれば良いと思っています。
数や面積や色彩だけでなく、どのような看板がダメで、どのような看板がOKなのか、もっと議論を深められたらいいなと思います。そして今以上に素敵なまちづくりにつながる屋外広告物条例がみんなの手で作られれば最高ですね。
4.条例には、例外もある
屋外広告物条例には、規制の対象外になっているものもあります。
一つは合計面積が7㎡以下のもの、そしてもう一つがいわゆる選挙看板です。はい、選挙の看板はこの条例には縛られていません。その代わり、公職選挙法で細かく大きさや数が規制されています。
まったく分野が違うので、「規制規制と言いながら、政治家の選挙看板があんなにド派手なのはおかしい!」というのはお門違いです。
でも、もっともですよね。選挙看板だって、街の景観に影響を与えています。個人的には、もっと規制されるべきだと思っています。これについては、また改めて書いてみたいと思います。
以上、看板と条例の関係についてまとめてみました。
いずれにせよ、なかなか専門的なことは一般の方だけでは判断することが難しいです。看板設置の際は、専門知識を持った業者にご相談されるのがいいと思います。
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